画家・長嶋祐成さんから届いた、1428文字のメッセージ
「熱帯魚」に託した、80年代と“いま”の関係
2022年夏の作品展『bloom』でお会いした時にチラッと構想はお伺いしていたものの、手元に届いた新作は、私たちの想像をぐーーんと飛び越えた鮮やかな2種でした。
まさか石垣島からショッキングピンクの背景をまとったお魚さんたちがやってくるなんて……かわいすぎるじゃないか!と、またまた一目惚れ。おまけに「オールドファッションな熱帯魚たち」というタイトルにもそそられる。
早速、長嶋祐成さんにそれぞれのテーマについてお話を伺ったところ、素敵すぎる長〜い“電子お手紙”が返ってきました。
「これはぜひ、MONOCO読者の皆さまへまるごとお伝えしたい!」ということで、1428文字のサカナ愛にあふれたメッセージをそのままご紹介します。
※以下、長嶋祐成さんからのメッセージです。
オールドファッションな熱帯魚たち
ここに描かれているのは、私が熱帯魚を飼い始めた90年代前半頃にポピュラーな種としてショップを賑わせていた顔ぶれです。
いずれもせいぜい数百円で手に入り、多くが飼育も容易なものです。
当時はバブル景気が崩壊して数年といったあたりで、子ども心にも世の中が急に色褪せ、臆病になった感じがありました。
ただ、そんな中で目にする熱帯魚関連書籍(※)はそれ以前に刊行されたものなので、80年代の前のめりな没入感や見知らぬ異国の魚への高揚感が鮮やかに満ちているようでした。
(※)『カラーポケットガイド熱帯魚図鑑』(マリン企画・1986年刊行)/情報が共有され複写され、その過程で客観性が重んじられる現代と異なり、たとえツッコミどころがあるとしても著者が自分の感じていることを熱っぽい言葉で書き連ねています。何かを表現する意味や勇気をも思い出させる本です。
親に買ってもらったという『熱帯魚図鑑』には、長嶋少年が夢中になって読み漁った痕跡が。 ※撮影/長嶋祐成さん
そんな書籍の空気感を吸い込んでショップに行くと、かろうじて物心つき始めの頃で覚えのあるバブルの気配が、目の前を泳ぐきらびやかな魚の姿に呼び起こされて、没入や高揚を自分のものとして味わうことができたのでした。
80年代というのは、今なおどこかそういった時代として憧れ含みで回想される面があると思います。
実際にはいいことばかりではないし、上記のような私の記憶も美化され整理されて今あるものに過ぎません。
それでも80年代はとにかく前向きな熱気とともにまだ見ぬ時間や空間を夢みていたし、一方現代の私たちは今よりはるかにアナログで手探りであったはずの時代が持っていた無邪気な情熱を夢みる。
そんな現代と80年代との関係を、熱帯魚に託して表したいと思いました。
ハンカチの魚には私が飼ったものも飼っていないものもありますが、いずれも私の中で何らかの景色や気持ちを思い出すものです。
今でも変わらずショップで見られるものもあれば、流行の移ろいの中であまり見かけなくなったものもいます。
サンゴ礁の或る日常
2022年夏の作品展『bloom』でもサンゴ礁を舞台とした一コマを描きましたが、そこでは私が海歩きで出会った小さな魚たちとその周囲の造形や色彩に対する明るい感動を表現していました。
今作は海に入って泳いで見た景色をもとにしており、テーマは「食うものと食われるものとが当たり前に同じ空間を生きる姿」です。
この感覚は私自身まだうまく言葉にすることができないのですが、自分を食うものと同じ空間で生き続けるというのは人間からすると考えられないことです。
その意味において、人間がそこから抜け出した「自然の系」とでも言うものを理解するための、ひとつのきっかけになる姿だと思っています。
今回選んだコクハンアラ(中央の大きな魚)は、肉食魚であるハタ科の魚の中でも遊泳性が強く、物陰に潜んで獲物を狙うというよりは、サンゴ礁の山あいにぽっかりと浮かんで周囲を見渡している感じです。
サンゴ礁の山あいから姿を見せるコクハンアラ ※撮影/長嶋祐成さん
私は捕食シーンを見たことはありませんが、尾鰭の付け根が他のハタ科魚類よりも太く力強く、おそらく瞬発的に獲物を追う泳ぎに長けているのだろうと思います。
周りを泳ぐデバスズメダイたちは、流れに体を乗せつつめいめいがキビキビと自由に泳ぎながら、何か異変を察知すると一斉に同じ動きでサンゴの間に逃げ込む姿が印象的です。
波に合わせて舞うように泳ぐデバスズメダイ ※撮影/長嶋祐成さん
おそらく、群れの中で何か不自然な動きをする一尾がいればそれが肉食魚の捕食のスイッチを入れることになり、肉食魚が狙う動きを見せれば今度は群れが一斉にサンゴに隠れるというようなことが日常的に繰り広げられているのだと思います。
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