MONOCOでも大人気、『uruotte（ウルオッテ）』の薬用育毛剤「ハーバルエッセンス」の共同開発者であり、美容界のレジェンドとしてその名を知られる岡部美代治さん。1980年代から、女性ファッション誌で美容・コスメ情報を分かりやすく発信した、草分け的存在です。



「ハーバルエッセンス」の取材時に、オンラインで初めてお会いし、70代にしてふさふさの髪に目が釘付けに。育毛剤にかける熱意と楽しいお人柄に触れ、もっとお話をお聞きしたい！と思っていたところ、『uruotte』社長・笹川さんの計らいで、インタビューの機会をいただくことができました！



薄毛の家系に生まれながら、薄毛DNAを払拭して今に至る、その秘訣とは。

現在悩んでいる方、将来が不安な方、パートナーを心配している方、必読です。

化粧品会社で育毛剤をつくりたい

編集部・山口（以下、編集山口）　そもそも美容業界に入るきっかけは、どのようなことだったのでしょうか？

岡部美代治さん（以下、岡部　敬称略）　子どもの頃から、髪の毛にコンプレックスがありましてね。おでこが広くてネコっ毛だし、親戚を見渡すと、どう考えてもハゲの家系。親からも心配されて育ったわけ。

大学生の頃、ヒッピースタイルが流行って、長髪に。ロックが好きで、このまま長髪を楽しみたいけれど、将来ハゲたらどうしようって、嫌な予感がしましてね。

一方、専攻は生物学で、地味に研究していたんですが、就職を考えたときに、華やかな世界もいいなと。先輩が就職活動で「コーセー」を受けたのをきっかけに、化粧品会社で育毛剤作れたらいいなと結びついたんです。

編集山口　憧れと実益を兼ねようと（笑）

岡部　そうそう（笑）　当時、「コーセー」は伸び盛りの会社で、研究者の募集10名くらいのところに、100名くらい応募があったかな。人事にかけあって、特別に研究所を見学させてもらいましてね。自由に研究できそうな環境だったので、とにかくここで働きたい！と熱意を伝えました。その甲斐あって合格。研究者として薬理研究室に配属になりました。

化粧品成分の効果効能を研究する「基礎研究」から、商品化のための「処方研究」まで、13年間、幅広く研究させてもらいました。



編集山口　その後、兄弟会社の「アルビオン」に出向されたのも、研究者としてですか？

岡部　「アルビオン」では、商品開発をサポートできる人材を探していたようで、声をかけられまして。ちょうど、薬理研究室の室長に内定もしていたんですが、「アルビオン」という会社も魅力的でしたし、新しいことにチャレンジしてみたくなって、出向を決めました。35歳の時です。

入口は商品開発のサポートでしたが、その後、実際の商品開発やブランディングがメインの仕事になりました。

「アルビオン」に入って5年目の時、チャンスが到来。当時低迷していたメンズブランドの立て直しを任されまして。研究者時代の人脈や知識を活かして、自分のための育毛剤を作ろうと。ターゲットは薄毛に悩んでいる男性です。自分も含めてね（笑）。

自身の頭皮で実証実験

編集山口　いよいよ、夢が叶うわけですね！

岡部　はい（笑)。それはもう、全身全霊かけて取り組みました。

それまでの研究で分かっていたのは、「血行促進」と「炎症を抑える」という２つが、育毛の最重要事項だということ。これは原因を問わず、男女共通。育毛の有効成分を効かせるための、外せない要素なんです。

それで、“スーッとして、カーッと効く”理想の育毛剤を作ろうと。前例にとらわれず、パンテノール、メントール、グリチルリチン酸ジカリウムといった有効成分を、医薬部外品の最大限まで配合することにしました。配合比は、納得のいくまでこだわって、“一番効くレシピ”を研究所の担当者と二人三脚で作り上げました。

香りも、女性でも使える薬草的なイメージにして、おじさんっぽさを一掃しようと。

編集山口　当時としては、斬新な育毛剤だったわけですね。一番大変だったことは、どんなことでしたか？

岡部　社内を説得することですかね。清涼感が強すぎると、安全性を気にしてビビる声も多くて。

でもね、自信があったんです。自分と同僚の頭で、実際に確かめていたので。使用前後の抜け毛を毎日数えて記録し、抜け毛が減るということを実証していました。もちろん安全性にも問題はなかったので。自分が使い続けて大丈夫だし、研究所時代の安全性研究の経験があると言って、説き伏せました（笑）。

その頃、毎日シャンプーするとハゲるとか、朝シャンは頭皮に良くないという都市伝説もありましたが、それも嘘だとエビデンスをとりました。

編集山口　安全性と有効性をご自分で実証されたんですね。まさに生きるエビデンス！

岡部　ブランド名は、「ダイハード」にしました。ブルース・ウィルスのように、タフな毛根をつくるというコンセプトで。死んでも死ななそうでしょ？　ご本人は髪の毛ないけど（笑）。

当時は、「大森林」や「不老林」みたいな、漢字のブランド名が流行っていたんです。それで「大髪頭」という案がコピーライターから出まして、「ダイハツトウ、ダイハツトウ…、ダイハード！」ってひらめいたんです（笑）。

編集山口　ぎゃははｗｗｗ



岡部　ブランドデビュー後は、ジャーナリストや雑誌社へのプロモーションも、宣伝担当者と一緒に回りました。これがきっかけで、美容ライターの方々との縁が広がりました。

三揃いのスーツしか着たことがなかったので、おしゃれな同僚に、自分にどんな服が似合うのか教えてもらったり、遊び人の粋な先輩に、いろんな世界を見せてもらったり。それまで、左脳ばかり使っていましたが、右脳を鍛えられたと思います（笑）。

編集山口　独立するきっかけは、どんなことだったのでしょうか？

岡部　研究職から始まって、社員教育や商品開発、ブランド立ち上げ、プロモーション、なんでもやらせてもらいましたので、もっと広い範囲の人のお役に立てるんじゃないかと。58歳の時、一念発起して独立しました。

「ビューティサイエンティスト」という肩書きで、化粧品会社のコンサルティングやセミナーなどを始めました。

『uruotte』の育毛剤は、僕の集大成

編集山口　『uruotte』との出会いは、独立されてからですか？

岡部　いや、その直前くらいかな。社長の笹川さんには、化粧品の勉強会で初めてお会いしました。その後、美容関係者が集まる飲み会にもお誘いするようになり。


右は『uruotte』製造販売を手がける、株式会社クィーンの代表取締役・笹川直子さん

ある時、笹川さんがその飲み会の席で、「『uruotte』らしい育毛剤を作りたいんですよね」って、ポロッと。それで、「僕、作れますよ！」って言ったら、「え、本当ですか？」って驚かれました。それまで、育毛剤の話はしたことがなかったから。

編集山口　岡部さんは、基礎化粧品ご専門のイメージが強いですよね。「アルビオン」の「スキンコンディショナー」の開発に携われたことが有名ですし。育毛剤には、独立後も関わっていたんですか？

岡部　「アルビオン」で作った育毛剤は、そもそも自分のために作ったようなものなので、他に変わるものがなく…。知り合いのLAB（研究所)に、レシピを参考に改良して作ってもらっていました。

それこそ、「パーソナル・ダイハード」です（笑）。自分と友人のためだけの育毛剤。

その時は60代に近づいていましたが、自分も髪をキープしていたし、一緒に使ってた友人もふさふさでした。生きたエビデンスが蓄積していたんです（笑）

編集山口　すごい！それは説得力がありますね。その知見を『uruotte』の育毛剤に生かされたわけですね。

岡部　商品のベースは「パーソナル・ダイハード」なんですが、保湿成分を加え、感触と香りで『uruotte』らしさを取り入れました。


『uruotte』の「ハーバルエッセンス」の商品開発には、コンセプト作りから、笹川社長と二人三脚で。頭皮の断面図のイラストも自作。

社長の笹川さんは、美的センスに溢れた方で、香りやデザインのプロデュースが素晴らしい。いいものをつくりたいという気持ちを共有し、２年間かけて磨きをかけました。

効果効能だけでなく、洗練された育毛剤にするため、和漢エキスやハーブを加え、香りに精油を使うなど、心地良さを追求。「パーソナル・ダイハード」から、さらに充実した仕上がりになりました。

上品な花の香りで角の取れた「優」と、スキッと爽快感のある「爽※」の２タイプをつくれたことも大きい。毎日快適に使える最高品質のものを完成させた、達成感と満足感があります。
※「ハーバルエッセンス爽」は、夏限定商品。MONOCOでは、5月中旬より販売スタート予定です。


左は「薬用育毛剤 ハーバルエッセンス優」、右は夏限定の「薬用育毛剤 ハーバルエッセンス爽」

『uruotte』の育毛剤は、私の集大成ともいえる存在。仕事柄、いろいろなブランドの試供品を使うこともありますが、年に300日は『uruotte』。これがなかったら、僕の髪に未来はないと思っています（笑）

編集山口　１番の愛用者なんですね。

岡部　中身もだけど、ボトルのデザインも素敵でしょ。グラデーションが美しくてアートを感じる。使い終わった後、フタに穴を空けて、草花をいけたりして愛用しています。



編集山口　おお、新発想！　ボトルと植物が調和するなんて発見です。

薄毛の運命は変えられます

編集山口　ご自身のヘアケア・頭皮ケアには、何か特別なことをされているんでしょうか。

岡部　いやいや、特別なことなんてないですよ。僕は朝シャン派で、1日1回、シャンプーとコンディショナー。常時5種類くらいあって、その日の気分でセレクトしています。風呂上がりは、頭皮に『uruotte』の育毛剤を馴染ませ、髪にはヘアクリームやオイルで油分を補うくらいかな。

ドライヤーは、温度コントロールができる「ダイソン」、スタイリング剤はギャツビーの「インサイドロック」が気に入っています。それと、週に1回、花王の「リライズ」で、白髪をメンテナンス。



編集山口　お聞きする限り、特別な感じはありませんね（笑）。使い方に秘訣があるのでしょうか？

岡部　秘訣といえば、シャンプー、コンディショナー、育毛剤、スタイリング、すべての工程で、頭皮マッサージを欠かさないことですかね。

指を広げて下から上へ向かって、指で頭皮を揉むんです。毎日マッサージしていると、体調によって感じ方も違って。疲れていたりやストレスを感じていると、心地良さが足りない。そんな時は、首の後も丁寧にもみほぐします。

編集山口　なるほど。毎日マッサージすることで、頭皮の変化にも気づけるんですね。

岡部　とにかく、習慣にすることが大切。育毛剤も毎日使ってこそ。いくら品質が良くても、継続して使わなければ、効果も期待できません。

編集山口　やってはいけないことなどはありますか？

岡部　そんなに窮屈に考えなくて大丈夫。シャンプーの時に爪を立てないとか、すすぎは丁寧にするっていうくらいですよ。

編集山口　そのおおらかさも、ふさふさの秘訣でしょうか。でも、やっぱり遺伝は関係しますよね。

岡部　ある程度はね。でも、運命は変えられます。僕は、薄毛DNAを払拭して、ハゲない人生をつかみ取った（笑）。

薄毛DNAより大敵なのは、ストレスなんです。ストレスは、頭皮を硬く、血行を悪くするから。

髪がパサついて、ツヤがないのは、頭皮の状態も良くないサイン。ストレスを解消したり、生活習慣やヘアケアを見直した方がいいと思います。髪がパサついている人を見ると、アドバイスしたくなっちゃいますね。

編集山口　悩める夫にすぐに伝えます！　最後に、今後やってみたいことを教えてください。

岡部　手頃な価格で、薄毛の方が自信を持てる、パーソナルな帽子感覚のものを手がけてみたいですね。まだまだ未開のジャンルはたくさんあります！

僕は、「おもしろく、楽しく、好奇心を持って」が、モットー。陶芸や花、ロックも大好き。これからも、風に髪をなびかせるように生きていきたいです！


岡部さん作、カッパのオブジェ。おならをする「へのカッパ」、「かっぱえびせんを食べるカッパ」など、ジョークの効いた楽しい作品。

インタビューを終えて

岡部美代治さんは、サイエンティストの立場から、美容ジャーナリストへ情報提供や化粧品会社のコンサルティングを続けてこられ、今も、美容雑誌でベストコスメの審査員をつとめる、業界の大御所。

緊張してインタビューに臨みましたが、実際にお会いしてみると、気さくでおちゃめ。ジョークを飛ばしながら、場を和ませてくださいました。



育毛のため、自らストイックに努力されているのかと思いきや、意外にも「細かいことは気にしない」おおらかなスタンス。

「マッサージを欠かさない」
「良い育毛剤を使い続ける」
「ストレスを溜めない」

この基本を、コツコツ積み重ねることこそが秘訣なのだと思いました。

岡部さんは、70代の今も、仕事に趣味に楽しそう。前向きな生き方も、“ふさふさ髪”以上に、カッコいい！

そして偶然にも、カメラマンが同じ山口大学出身と分かり、大盛り上がり。

「梅雨時はカエルがうるさいよね」、「蛍デート、よくしたよ」とローカルな話題から、「君、何歳？　次女が婚活中なのよ！一緒に写真撮ろう」とお婿さんハントになり、記念写真。写りをチェックして「僕の若いころに似てるわ。本当の息子になるかもしれないね」とニコニコ。

最後に、「今日から育毛がんばって！」と『uruotte』の育毛剤をプレゼントしてくださいました。


左は、カメラマンの小野博史さん。どことなく似ているお二人。確かに、親子と言われたら信じるかも！

最後まで笑いに包まれたインタビュー、ありがとうございました！