HOME > 「おもちゃ」が「友人」になるまで《Story》
MONOCO JOURNAL

「おもちゃ」が「友人」になるまで《Story》

スマートウォッチのある生活



はじめてのスマートウォッチを注文して、手元に届くまで、本当にわくわくする時間だった。「スマートウォッチってどんなことができるんだろう」、「スマートウォッチによって生活はどのように変わるんだろう」。まるで遠足前の子供のよう。どんなバラ色の未来と、現実の楽しさを連れてスマーウォッチは私のもとにやって来てくれるのか。本当にワクワクしていたのを今でも鮮明に憶えてる。

自宅に届けられたスマートウォッチは想像以上にすばらしい「おもちゃ」だった。睡眠時間、睡眠の質、移動距離、歩数、脈拍数。普段の生活で決して可視化されない「自分自身」を手に取るように観察することができる。これだけで毎日毎日楽しくてたまらなかった。無意味に歩きまわってみたり、ランニングに出かけてみたり。就寝前、就寝後には毎日まず必ずスマートウォッチを眺めてみたり。まるで睡眠記録を見るために寝ているかのようであった。

でもある日、ある瞬間、私はあれだけ大好きだったスマートウォッチに「飽きて」しまったのだ。「飽きた」とはいっても習慣は恐ろしいもの。それからも相変わらず毎日、スマートウォッチを身につけ続けた。購入したスマートウォッチは飽きのこないデザインであったこと、日々の充電など制約がないタイプだったこと、が大きかったと思う。スマートウォッチはその時期、私にとって「おもちゃ」ではなく、「時計」であり、「ファッション小物」であった。

先日、ふとスマートフォンにインストールされたままになっていたスマートウォッチアプリが目に入った。何のに気なしにアプリを立ち上げてみて驚愕した。スマートウォッチは私自身の生活をずっと記録していてくれたのだ。私が私のスマートウォッチにあれほど興味がなかった時期も甲斐甲斐しく、私を見つめ、見守り、記録していてくれていたのだ。



そして、スマートウォッチは堰を切ったように私に生活のアドバイスをくれはじめた。例えば運動量の変化。油断したせいか最近、総歩数が減ってる。ランニングの回数が減ってることもしっかりと記録されてる。例えば曜日ごとの睡眠の質。土曜日は熟睡しているが、日曜日は熟睡出来ていない。例えば血圧による時間ごとの緊張度。毎週定例の会議中はストレスを感じていることを再認識。意識させずに私自身の生活を記録し、蓄積し、分析し、新しい生活を提示してくれる。その日からスマートフォンは私の生活をいちばん近くで見守り、アドバイスをくれる「友人」となった。



スマートウォッチが記録し、指し示してくれる現実や未来にいま、わくわくしている。「友人」であるスマートウォッチとのつきあい方は無限大で、これからいくつものつきあい方の進化があるはずだ。ただ今はその進化に身を任せるために身につけ続けるだけだ。相変わらず気分屋で飽きっぽい私だが、私の「友人」はきっと許してくれるはずだ。

 Editor's Note

鈴木 悌遍
いまスマートウォッチとともに蓄積されているデータで近い将来どんなことができるのか、どんな未来がひらくのか、楽しみですね。

個人的には最近出会った、“「未来の時間」を創る時計”というコンセプトで創られたスマートウォッチが気になります。「スマートフォンの画面ばかり見ていないでもっと現実の世界と向きあおうよ」という思想をはじめて聞いた時には感動しました。